学校

夢のスケッチ

学校に行きたくない。

朝、いつものように支度をして、制服を着たけど、どうしても行きたくないのだ。

父と母はとうに仕事に出かけたので、家の中には私一人。

このまま居てようかなー、と思っていたら、隣のおばさんが来て、学校に行きなさいと言った。

なんかうるさいので、仕方なく家を出た。

門の所で近所のおばさんたちが集まって世間話をしている。私はその中を通り抜け、歩き始めた。

いつもならここで引き返して、隣のおばさんの目をぬすみ、家に入ってしまうのだけど、今日は外に人がたくさん居るのでそれもできない。

かといって、学校にはどうしても行きたくない。

生け垣の陰から、集まっている人たちがどこかへ行かないかと期待して、様子をうかがっていたけど、いっこうにおしゃべりをやめない。学校へ行くしかなさそうだ。

歩きたくもないからタクシーに乗った。タクシーの中で、口紅を塗り直したり、カバンについているぬいぐるみをいじくったりしている。

学校とは関係ない所でタクシーを下りた。行くあてもないので、バス停でぼんやり座っているうちに、夜になった。

バスは一本も来なかった。

急に、高校の英語の先生が大きなバイクで来て、私に乗れと言う。バスが運休しているので生徒をみんな送るつもりらしい。

先生が急発進するので、落ちそうになったけど、なんとかしがみついて無事だった。「先生、このバイク何cc?」ときいたら「475」と言った。「へんなの~」

そのうち、山道にさしかかり、峠で降ろされた。ここからは歩いて山のてっぺんに行き、次の飛行船に乗らなければならない。先生は他の生徒を迎えに引き返して行った。

山登りをしていると飛行船が来て乗せてくれた。

朝になり、市街地をふわりふわり飛んでいる。

もう降りたい。

でもこの飛行船は市電だから、駅に着かないと降りれない。

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考察

高校には馴染めなかった。進学率ばかり気にしている教師の群れは、私の知識欲を蹂躙するものでしかなかった。退学を希望したが親は反対し、態度や成績などどうでもいいから卒業まで時間潰しをしろと言ってきた。

いったん自由を認められたように見えるが、進学高校の生活は軍隊的な団体行動である。時間潰しのためにフラフラしている個人など、人として認められるどころか、虫ケラ扱いになる。退学したほうがよっぽどマシなのである。

しかし不可能だった。私の家族や親戚には、あろうことか、小学校、中学、高校の教師が何人もいた。教師の仕事をご存知の方はお分かりだろうが、教師同士や地域のしがらみにまみれて仕事をしている。

そんな家庭から脱走兵を出すのは絶対に認められない。

私に残された生活は、文字通りフラフラすることだけだった。体調もである。常に目が回ってフラフラする。

そうなると全てに争う気は失せ、自分を甘やかすことでしか自分を保てない感じになっていた。

気球に乗ってフラフラ・・と。

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